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「スーパーマーケット6つの部門 ー 白鳥和生」朝日新書 なぜ野菜売り場は入り口にあるのか から

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「スーパーマーケット6つの部門 ー 白鳥和生」朝日新書 なぜ野菜売り場は入り口にあるのか から


青果部門:入り口にある店の「顔」

一般的なスーパーマーケットの売り場は、おおむね6つの部門に分かれている。その配置にはどのような法則があるのか。その答えを探るために、まず青果売り場を観察してみよう。
入り口付近に青果売り場を配置する理由は、視覚的なインパクトを与えるためだ。カラフルな野菜や果物で新鮮さを訴求し、旬の商品を通じて季節感を来店客に伝える。さらに、 「ここで売っている商品は高品質」という第一印象を与える効果もある。
全国スーパーマーケット協会の増井徳太郎副会長(紀ノ国屋ファウンダー)は、米国の食文化を背景に、青果売り場が入り口に配置される理由を「食事の初めにサラダを食べる習慣が影響している」と指摘する。紀ノ国屋は1953年、米国のスーパーマーケットを参考に日本で初めてセルフサービスを導入した店を開いた。撮影してきた写真を基に、棚の高さから商品のレイアウトまで米国にならった。だから野菜を店舗の入り口に並べていったのだ。
これが、四季や旬を大事にする国民性を持つ日本人にもマッチした。前述のとおり、青果売り場が入り口にある理由は、「旬の商品や彩りある商品で来店客の購買意欲を喚起する」役割を担っているところにある。春には山菜やたけのこが並び、夏には桃やスイカなどの夏果実、秋には松茸や栗…、彩り豊かな野菜や果物が並ぶ青果売り場は、季節の変化を四季折々、 来店客に伝える。
青果部門で扱う品目は、主に「野菜」「果実」「花」の3つ。売り場に並ぶアイテム数は、 店の規模にもよるが、おおむね200から350。一般的なスーパーマーケットの品数は 1万前後とされ、青果部門は店全体の約3%ほどだ。これに対して青果部門の売上高構成比は10%台前半を占め、1品目あたりの売上高が大きいことがわかる。
青果部門の粗利益率目標は22~25%程度とされ、生鮮3部門の中では最も低い。これは購買頻度の高い野菜を中心に生活者の価格志向が強く、競合店対策上、どうしても価格を抑えざるを得ないことが主な理由だ。
来店客の8割が、事前に食事のメニューを決めていないといわれる。そのため、青果売り場にはメニューを想起してもらう役割がある。家庭で常備している食品で、切らしたり少なくなっていたりしているものを思い浮かべつつ、鮮度のよい野菜や果物をかごに入れる。そして肉や魚などメインになる食材の売り場に足を運び、メニューを決めていく。途中で思いついたメニューに合った調味料などが買えるようにレイアウトされ、最後に牛乳やデザート類、パンなどが並ぶ。
最近の青果売り場では、安全・安心・健康志向・地域志向の流れに沿ってオーガニック (有機)の野菜やドライフルーツ、生産者の顔が見える商品や地元産野菜が拡大傾向だ。 また、簡便志向に対応したカット野菜、カットフルーツは、ほとんどの店でコーナー化されるようになっている。

精肉部門:肉ブームで売上高構成比アップ

精肉部門は、「畜産部門」と呼ぶ企業もあるとおり、畜肉全般を取り扱う。カテゴリーは牛肉、豚肉、鶏肉、ひき肉と、加工品と呼ばれるハムやソーセージ、ベーコンなどに分けられる。加えて最近は「ミートデリカ」と呼ばれる、精肉商品を使用した惣菜を販売するケースも増えている。
肉ブームも手伝って年々、精肉部門の売上高構成比は高まり、全体の12~15%くらいになっている店舗が多い。総務省の家計調査によると、数量ベースでは2006年を境に1 人あたりの肉類の消費量が生鮮魚介類を逆転し、その差は年々広がっている。
店舗によって品目数はさまざまだが、全カテゴリー合わせて90~120アイテム程度の取り扱いが一般的だ。各種の肉はもちろん、部位やこま切れなどカット方法ごとに商品化され、最近ではステーキや焼肉、しゃぶしゃぶといったメニュー別のパックも多くなり、 来店客の目的に応じて購入しやすい売り場となっている。
精肉や鮮魚売り場が店舗の奥に配置されているのは、来店客が店内を回遊するように誘導するためだ。ほかの商品も目に入り、「ついで買い」を促進する効果がある。
スーパーマーケットの精肉部門は、グロサリー(加工食品)や酒類などと違ってSPA (製造から販売までを一貫して行う小売形態)に近い。枝肉やブロック肉を仕入れ、調理しやすいよう加工して販売しているからだ。
たとえば、さまざまな料理に使えて便利な「こま切れ」と「切り落とし」。一般的に「こま切れ」とは肉を整形する際に出るさまざまな部位の切れ端を集めたもので、厚さや大きさはバラバラにカットされている。対して「切り落とし」は特定の部位の肉をスライスした際に出る切れ端を指し、大きさはバラバラだが厚さは均一だ。

鮮魚部門:「魚離れ」で苦戦中

鮮魚部門は大きく分けて刺身、生魚丸物、切り身や活貝が中心の「鮮魚分類」と、塩ザケ・マス、魚卵、干物などが中心の「塩干分類」に分けられる。日本人の「魚離れ」 が進む中で売上は苦戦気味のチェーンが多い。これを打開するため、にぎり寿司や焼き魚・煮魚を品揃えする店舗も増えている。
取扱品目は業態、売り場の大きさにもよるが、アイテム数200~300ほど。粗利益率は店舗段階で平均26~27%、廃棄ロス率は7~9%前後が平均的な数値だと見られる。 鮮魚部門の売上高構成比は、生鮮3部門ブラス惣菜部門の中では最下位のスーパーマーケットが多く、売上高構成比は10%前後にとどまる。
ただ、青果部門と並んで鮮魚部門は季節商材の扱いが多い。四季折々の旬の魚を提案することで、顧客に季節の移り変わりや旬の商材を楽しんでもらえる部門といえる。

惣菜部門:簡便・時短ニーズの波に乗る

惣菜部門は、スーパーマーケットで最も成長が著しい分野のひとつだ。その背景には現代の「簡便・時短ニーズ」がある。忙しい共働き世帯や単身世帯が増え、自宅での調理を省略したいという需要が高まった結果、重要なカテゴリーとなった。
惣菜の商品は調理済みでそのまま食べられる「即食」から、加熱や盛りつけのみで完成する「準即食」まで幅広い。また、冷凍食品やレトルト食品と異なり、家庭で手作りしたような味わいを提供できる点も特徴だ。
惣菜部門の商品は、来店客のライフスタイルや食習慣に合わせて多様化している。定番の唐揚げや天ぷら、煮物に加え、最近ではガパオライスや地中海風サラダといった家庭では作りにくく高級感のある料理が注目されている。
地域性を反映した商品や季節限定メニューを取り入れる店舗も増えている。たとえば、 夏には冷やし中華やサラダうどん、冬には鍋セットやおでんが売り場の中心となる。惣菜部門は来店客に新しいメニュー提案をする場としての役割も担っているのだ。
惣菜売り場の配置は、来店客の購買行動を意識して工夫されている。住宅地や郊外型店舗では、青果、 鮮魚、精肉の生鮮食品を購入した後に惣菜を選ぶ流れが一般的だ。一方、駅前や商業地区では、仕事帰りの需要を意識して惣菜売り場を入り口近くに配置することが多い。
惣菜の陳列方法も変化している。「クロスマーチャンダイジング」と呼ばれる手法では、惣菜を関連商品と一緒に並べ、買いやすさを向上させている。唐揚げの横にサラダやドレッシングを並べたり、 寿司の隣にインスタントのお吸い物を配置したりすることで買い上げ点数を増やす工夫だ。

日配部門:パン、牛乳、豆腐が来店頻度を上げる

日配部門はその名前が示すとおり、毎日入荷し、毎日売れていく商品を主とした部門だ。代表的な商品はパン、牛乳、豆腐などで、スーパーマーケットにとっては顧客の来店頻度を上げる重要な役割を担っている。これらは毎日入荷した量をほぼその日のうちに売り切り、その他の商品もおおむね3、4日の回転日数で回っている。
「和日配」は豆腐関連、こんにゃく、納豆、チルド麺、魚肉練り製品、漬物など、「洋日配」は牛乳、ヨーグルト、チーズ、バターなどの乳製品、その他チルドデザートなどを指す。「冷凍食品」には冷凍野菜、弁当用、スナック、調理済み冷凍食品などが、「パン」には食パン、食卓パン、菓子パン、惣菜パンなどとともに常温の洋菓子、和菓子が含まれる。
日配商品はパンを除き、基本的に冷蔵か冷凍の温度帯で保存される。保存期間も冷凍食品やアイスクリームを除くと短く、消費期限商品(製造または加工後およそ5日以内で品質が劣化する商品)も多い。つまり日配商品は「保存期限が短く日付管理が重要な商品」もしくは「冷蔵、冷凍などの温度管理が重要な商品」であることが特徴といえる。

グロサリー部門:品目が最も多く、PBが増加傾向

グロサリーは食料品の中で取扱品目が一番多く、「ドライ商品」とも呼ばれる。みそ、 しょうゆ、マヨネーズなどの調味料群、コーヒー、緑茶、ペット飲料、ビールなどの酒類といった嗜好品群、小麦粉、スパゲッティ、そうめんなどの調理材料群、干ししいたけ、 昆布、いりこなどの農水産乾物群、カップ麺、インスタント麺、ふりかけなどの副食材群など多岐にわたる。企業によっては菓子類を含む場合もある。
比較的短い期間に消費しなければならない「消費期限(安全に食べられる期限)」の商品ではなく、「賞味期限(おいしく食べられる期限)」の商品で、販売期限が長いのも特徴だ。 輸入食品の品目も多い。PB商品の比率も高く、地域ごとに特色のあるラインナップや、 こだわり商品の発掘などで地場商品も注目され始め、コーナー展開しているチェーンもある。





by nprtheeconomist05 | 2026-03-08 15:20 | 学者