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「草食系の不買運動 ー 荻原魚雷」閑な読書人 から


今年「草食系男子」という言葉が流行した。
異性にたいしてがつがつしない、二十代から三十代のおとなしい男性といったような意味 (かつてはヤギ男 草食系、トラ男=肉食系ともいった)だけど、彼らは恋愛にかぎらず、物欲もあまりないのではないか。
三浦展[あつし]著「シンプル族の反乱―――モノを買わない消費者の登場』(KKベストセラーズ)、 松田久一著「「嫌消費」世代の研究」(東洋経済新報社)という本を読み、若者の草食化は消費活動にも及んでいることを知った。
いずれも今の若い人たちの「ものを買いたくない」という心理を分析した本である。 三浦展はモノを買わない「シンブル族」が出現してきた背景として、「すでに生活が豊かであり、物が豊富にあるので、急いで買う必要がない」「将来に不安があるので、貯蓄に励み、 物を買わない」「インターネットが発達したので、情報だけで満足するようになり、物は買わなくなった」「環境意識が強まったので、無駄な消費をしなくなった」といった理由をあげている。
その特徴は ー 。
節約意識が高く、ゴミになるものを嫌う。生活の細部にこだわる。自然なものが好きで、プラスチックが嫌い。間に合わせのものは買わない。自分で物や料理を作るのが好き。古いものが好き。
わたしの学生時代は、友人の下宿に遊びに行くと、テレビがあり、ステレオがあり、ゲームがあり、カラーボックスがあり、パイプベッドがあり、ところせましと本や漫画やレコードが山積みになっていた。
いわゆるオタク部屋である。金のあるなしに関係なく、ごちゃごちゃしていた。
今はすっきりと片づいた部屋に暮らす若い人が増えている気がする。
そうした意識をより明確にしているのが、「嫌消費」という言葉かもしれない。
クルマはいらない。大型テレビもいらない。とにかく支出を減らしたいというのが、「バブル後世代」(一九七九年~一九八三年生まれ)に見られる傾向だという。
景気回復の兆しが見えない。現在住んでいる場所にずっと居続けられるかもわからない。それゆえ身軽でいたい。ものをあまりもっていなければ、引っ越しも楽だ。金のかかる娯楽にも興味がない。日々ほどほどに平穏で、消費にあくせくせず、そこそこ楽しければいい。
そうなると、消費社会はまわらない。ますます、不況になる。もっと消費しろといわれても、 いらないものはいらない。
増量や新機能は無駄。派手な柄や飾りも無駄。
ものをもちたくない人にとっては、これまで「お得」だとされてきたことが、逆効果なのだ。
むしろ「お得」という感覚そのものが、かっこわるいものになっているともいえる。
ものが少なくても、不便ではない。そもそも便利さをそれほど望んでいない。身軽な生活のほうが、快適なことに気づきはじめている。
これは一過性の流行ではない。




# by nprtheeconomist05 | 2026-02-07 14:33 | 評論家